ウルトラマントリガー考察~明かされた謎と明かされなかった謎~
スマイルスマイル!
ウルトラマントリガー、終わりましたね。去年にも増してレベルアップした特撮映像には毎週楽しまされました。
それはさておき始まった時から賛否両論というレベルじゃない感じで、まあ詳しくは書きませんが、ティガの真髄を継げたかどうかという部分で極めて意見が別れていたようですね。知らんけど。
正直自分もその点で言えばトリガーに乗り切れない部分はあったのですが、
しかし。
「トリガー」という作品そのものに真面目に向き合ったならばどうなのか。ティガとの比較では見えてこない、何らかの面白さが、もしかしたら見えてくるのではないか。
そういう思いで、最終回前の一週間を費やして、一話から真面目に見直し、考察しました。
というわけで、以下ではトリガーという作品に散りばめられた謎を一問一答形式で考察してゆき、どの謎が明かされたのか、あるいは明かされなかったのかを考えてゆきます。
それぞれの疑問については、解明(物語内で説明された)・考察可能(物語の描写から推定できる)・未解明(わからん)に分類し、どれだけ謎が解明されているかを明らかにします。
なお、ティガとの比較をしないという観点から、例えばなんで邪神の住んでいる遺跡の名前が「希望」なのか、とかそういう疑問は一切考察しません。
2022.03.18追記:劇場版エピソードZ、面白かったですね!(皮肉じゃなく本当に面白かった) いくつか謎が説明されたので追記しています。
- 年表
- 基本設定について
- ウルトラマントリガー関係
- シズマ会長とGUTS-SELECT関係
- トリガーとは一体何なのか――分裂の真相と11・12話で起きたこと
- Q23.11話でカルミラは一体何をしたの?
- Q24.11話のトリガーは何故トリガーダークに変貌してしまったの?
- Q25.なぜトリガーダークは暴走したの?
- Q26.ケンゴがトリガー自身ってどういうこと?
- Q27.過去のケンゴと未来のケンゴが融合したのは何なの?
- Q28.なんで12話でトリガーは二人に増えてしまったの?
- Q29.なんで過去に飛ばされたの?
- Q30.なんで現代に戻ってこれたの?
- Q31.なんでユザレは消えたの?
- Q32.なんでトリガーまで石化したの?
- Q33.なんでケンゴはトリガーから分かれて人になったの?
- Q34.トリガーダークがイグニスと合体したのは何故?
- Q35.歴史改変はあったの?
- その他もろもろ
- まとめ
年表
まずは考察の基本として、年表を作るところから。
超古代
年代 | できごと |
---|---|
3億5000年前 | バニラ・アボラスが封印される |
3000万年前 | ・エタニティコア活性化により(10話)ガマクジラ、グビラ、ゴモラ、デスドラゴなどが出現(9話) ・バリガイラーが地球を訪れ、ユザレと戦いひどい目にあう(20話) ・闇の巨人と地球星警護団の戦い(11話) ・セグメゲルをトリガーとカルミラが倒す(18話) ・超古代文明が滅びる(3話) ・マナカケンゴとユザレが出会う(11話) ・闇の巨人とトリガー、石化。ユザレ消滅(12話) |
少し後 | 遺跡の石材を使って石板が製作される |
年代飛びすぎワロタ。
「3000万年前」と語られる諸々の具体的な前後関係は不明ですが、闇の巨人による超古代文明の滅亡を境にすると、11・12話のケンゴが来る~封印はその後、地球星警護団と闇の巨人の戦いはその前であることは自明です。怪獣出現とバリガイラー飛来は仮ですが、たぶんユザレがピンピン戦ってる頃と考えるとこの位置になりそうです。
石板の製作年代は不明ですが、封印の経緯が記されているようなので3000万年前の戦いよりは少し後と考えるのが妥当です。
現代
年代 | できごと |
---|---|
約100年前 | ヒュドラムだけ覚醒(3話) |
100年前 | リシュリア星滅亡(6話) |
不明 | ヒュドラムがメツオーガの卵を持ち込む(17話) |
30年前 | シズマ会長がこちらの世界へやってくる(9話) |
21年前 | ・シズマ財団がはじめて発見した遺跡で石板発見(4話) ・火星の遺跡発見(1話)*1→次第に逆ピラミッド状であることが判明(1話)。なおサークルアームズは「先日発見」(1話) ・母が火星の遺跡でケンゴを見つける(24話) |
不明 | エインシェントスパークレンス発見( |
18年前 | ユナ誕生 |
6年前 | ・初の怪獣デスドラゴ出現(5話) ・ガッツウイングをシズマ会長が操縦し迎撃するが、アキト両親死亡(5話) ・怪獣災害を受けてTPU設立へ(1話) |
断片的に語られるところを整理すると、超古代遺跡が初めて発見されたのと、火星で遺跡が発見されたのと、さらに赤ちゃんケンゴの発見はいずれも21年前だそうです。一気に何もかも起きすぎでは?
ニューイヤーEXPOのセリフによればケンゴは22歳らしいので整合しています。いや22歳がスマイルスマイル言ってんのかよ……
ちなみに21年前の時点でシズマ財団はすでに火星に調査団を送るレベル。シズマ会長が来てから10年と経っていないのに……。
石板の出土元は語られていませんが、4話の文脈的に多分地球ではないかと思われます。エンシェントスパークレンス出土は、地球か火星かはおろか、年代も明らかではありません。ただ、ガッツスパークレンス開発は、2話で渡されたアキトが高校の制服なのでごく最近と考えられます。
6年前にデスドラゴが初出現したのを皮切りに、TPU設立など一気に話が動くことになります。
2022.03.18追記:エンシェントスパークレンス入手について劇場版で明かされました。
ザビル(トキオカ新隊長)が超古代からずっと持っていて、シズマ会長に渡したようです。具体的な年代は不明。石板を作ったのも実はこの人でした。そう、すべては仕組まれていたのだ……。
Q1.なぜ今、物語がはじまったのか
→考察可能
まず、闇の巨人が目覚めた理由については、ちょうど3000万年前の石化効果が切れたと考えられます。ヒュドラムは100年前に勝手に復活しており、カルミラも岩とぶつかっただけで復活しました。石像トリガーからケンゴが分離したのも、その影響でしょうか。
また、エタニティコアも近年活性化したと思われます。上の年表にある通り、3000万年前にはエタニティコアの活性化で怪獣が多数出現しました。6年前のデスドラゴを皮切りに地球に多数の怪獣が出現しているのは、エタニティコアの活性化を示唆していると言えるでしょう。
この二つの出来事に果たして何らかの関係があるのかどうか……は、わからんとしか言えませんが。
そして舞台は現在へ……。
基本設定について
まずは物語の根幹に関わるところから。
Q2.石板の内容はどんな感じ?
→解明
まあこれは普通に明らかです。
- 超古代文明を滅ぼした闇の巨人3人+トリガーダーク
- 中央にユザレの姿
- 右下にエタニティコア
- ユザレが闇の巨人3人と、光の巨人を封印したという文言(4話)
21年前に会長がこの石板を発見したことで、将来闇の巨人が復活することを予見しTPU、GUTS-SELECTに繋がります。
なんで都合いいタイミングで石が剥がれて読めるようになるのかは知らないです。
Q3.闇の巨人って何者?
→未解明
はい、早速ですね。闇の巨人が結局何者なのかはよくわかりません。とりあえず劇中からわかることとして、
- 「闇の一族」と自称していた(11話)
があるものの、それ以上のことは不明です。4人のほかにいたのかも不明。闇~~~。
Q4.闇の巨人の目的は?
→解明
こっちは11話でちゃんと説明されています。
カルミラが言うには「宇宙を闇の一族だけの世界に作り変える」とのこと。何それ。そのためにエタニティコアの力を狙っていました。
按ずるに24-25話みたいに世界を闇で覆う感じなんですかね。なんだかよくわからないですが。
で、11・12話で超古代にケンゴが飛んだ結果、カルミラは「マナカケンゴオオオオオオ!」になってしまい、19話の幻影事件を経て、呆れたヒュドラムが抜け駆けます。
ヒュドラムが言うには、彼の目的はカルミラより先にエタニティコアを手に入れ、「闇の王」になる(22話)こと。なにそれ。
Q5.ヒュドラムはなぜリシュリア星を滅ぼしたの?
→解明
説明はされていて、本人が何度か言うところでは「食うため」(14話)。
まあ、そのまま食ったというより、人々の恐怖を食うとかそんな感じじゃないですかね。
続けて光サイド。
Q6.ユザレは何者?
→解明
「地球星警護団」のリーダー(20話)で、エタニティコアの鍵(11話)です。そういうものらしいです。
ユザレは超古代の戦いで消滅してしまい。その時ユザレに託されたエタニティの力(12話)は指輪の形で末裔に伝わり(9話)、12話でトリガーに託されることになります。
Q7.じゃあ「地球星警護団」って?
→わからん。
なんも説明がないです。というかユザレ以外に出てこないです*2。なおティガ世界と違って、ネイティブな光の巨人の存在が語られていないことに注意が必要です。
2022.03.18追記:ユザレ以外の地球星警護団が劇場版に出てきました。
ザビルさんとライラーのお仲間が、どうやら地球星警護団の生き残りのようです。トリガーの光落ちに大ショックを受けていたことをみると、やはりこちらの超古代には光の巨人は元々存在していなかったようです。救いのない世界だ……。
そして救いのない中で頑張っていた人からすれば、急に外からやってきた救済はむしろ絶望にしかならなかった……救いがない……
Q8.ユナの覚醒とは何か
→考察可能
具体的な説明はないですが、これは普通にユザレの記憶を取り戻し力を使えるようになることでしょう。たぶん末裔の定めみたいなもので、19話で覚悟を決めたことで完全覚醒に至ります。
Q9.エタニティコアって何?
→解明
ユザレ「ビッグバンを起こし宇宙を作り変えるほどの力」(11話)だそうです。宇宙を消し去ってしまいかねないらしいです。
その他一切のことは不明です。それって説明されたって言えるのか??
ウルトラマントリガー関係
Q10.スパークレンスって何?
→解明
11話のユザレによれば、エインシェントスパークレンス=「星々の力を途方も無い時間をかけて集めた神器」だそうです。そう……。
5話で写り込んだところではエンシェントスパークレンスにハイパーキー挿入孔は存在しないので、その辺のギミックはガッツスパークレンスで追加されたものと考えられます。
Q11.ハイパーキーでタイプチェンジできるのはなぜ?
→解明
12話でパワーとスカイが吸い込まれた遺跡の石材を使って石板が作られ(13話)、そこからアキトが力を抽出したそうです。
それって説明されたって言えるのか??
アキトは天才なので石板にそんな力が秘められていることも見抜いちゃうし、どういう理屈か知らんけどキーに封じこめることもできるんだ。
マルチタイプキーだけは出自が違っていて、1話で石像のカラータイマーが石化解除された瞬間に、ケンゴが持っていたブランクキーが変化しています。
となると問題となるのが、上述のように古代のスパークレンスはキーを使わなかったということ。
トリガーの力がブランクキーに入るのはいいとして、その後、過去でスパークレンスを使う人間(実はケンゴ本人)の姿を見てケンゴがスパークレンスを使うときに、超古代に存在しなかったはずのハイパーキーを普通に使っているのがよくわからない。
というかそのシーンで、ケンゴがキーの音声「ウルトラマントリガー」からその名前を知るのは……それは……一体……どういうこと!?
Q12.サークルアームズの出どころ
→考察可能
超古代のトリガーダークは一切使ってないです。
12話でケンゴが融合しトリガーダークがトリガーになって分身したらなんか持ってた、ということになります。
つまり、未来の記憶を持つケンゴの影響で無からサークルアームズが生成された……? なるほどだから超古代の遺物なのにハイパーキーが挿せるんだね。
いやまあ、そうなると完全に論理が循環してますが、そこはほら、サークル(円環)アームズだから……。
Q13.ケンゴが見ていたイメージは何?
→解明
序盤でケンゴが過去で変身したり武器を使っているトリガーの姿を脳裏に浮かべて「そうか!」とやるやつが何度かありましたが、12話で過去にいったケンゴ本人の姿だとわかりましたね。詳しくはあとで説明しますが、正確には過去にいった未来ケンゴの動きを見た、過去のトリガーの記憶を思い出しているということになります。
やっぱりサークルアームズ、循環してるよな……。
Q14.ユザレの「あなたは光であり……」って?
→解明
「光であり闇」という説がありましたが、15話で、「あなたは光であり人である」とわかりました。
いや人じゃないんですが。
という疑問も説明してくれるのがこの番組のありがたいところで(皮肉)、
光の巨人であり、母親の愛を受けた人である、という意味であることが、同じ15話の描写からわかります。
つまり母の愛で人になったんだよ!!!!
Q15.トリガーはなんで火星にいたの?
→解明
三巨人を宇宙に運んだらたまたま火星に落ちた(12話)。
は???????????????????????????
Q16.なんで火星に遺跡が存在するの?
→未解明
1話で出てくる超重要な遺跡ですが、マジでわかりません。どう見てもたまたまあそこに落ちただけなので。
考えられる可能性はいくつかありますが、どれも決め手がないです。
- たまたま落ちたところに超古代人の建物があった
→ご都合主義すぎない? - 超古代人が後で火星に行って遺跡を造った
→ありそうだけど、あいつら火星に行けたの?
ただ、実はスタッフは説明したつもりでいる可能性があり、その説明と思われる場面が次のもの。
闇巨人を運び終えて火星に墜落してくるトリガー。よく見ると、逆ピラミッド型の衝撃波に包まれてますね。
そう、思い出していただきたい。1話の遺跡は逆ピラミッド型。そういうことか!!!!!!!!
とはならんやろ……。
シズマ会長とGUTS-SELECT関係
Q17.スマイルスマイルは誰が言い出したのか
→未解明
最終回の非常に重要なキーワードですが、主人公の口癖であるという以上の意味づけはないです。恐らくケンゴの母親由来だとは思われますし、そうなると色々きれいに収まるんですが、そこの説明はないです。
そういうところだぞ。
Q18.シズマ会長はティガ世界のいつ頃から来たのか
→解明
そういうことは考えないっていったでしょ……。いやまあ物語にも関わるし、多少はね?
色々説はありましたが、最終回で確定しました。
- 最終話を回想しているので、ティガ最終回後
- たぶんダイナのことは知らない
- 言及されている情報局参謀はたぶんイルマのこと(ダイナ時点の職)。
→TFO時点でイルマはまだ隊長なので、TFO以後と確定
要するに、ダイナの直前あたりということです。
そうなるとTFOの闇の三巨人のことは知っていることになって、でも言及はなくて……?
Q19.19話のティガは何?
→答えないっつってんだろ!
Q20.シズマ会長はトリガーのことをどこまで知っていたのか
→未解明
多分石板の情報+ユザレ関係+α以外はほぼ知らないはずですが、あの感じなので全然喋ってくれません。
1話でケンゴを選んだのは、もしかするとケンゴ母から赤ちゃんを拾った話を聞いたのを覚えていたからかも知れませんが、詳しいことは語られておらず、何とも言えません。
Q21.ナースデッセイは誰が命名したの?
→解明
スピンオフ「ナースデッセイ号開発秘話」で、シズマ会長がアートデッセイにちなんでつけた(18話)と判明しています。
ちなみにガッツファルコンもガッツセレクトも向こうのGUTSにちなんで会長が名付けたものです。
いや恐ろしく公私混同してますね。兵器を開発させたのも会長の身内だし、GUTS-SELECTの隊員も半分以上会長のコネ採用……。
というか気になるのが、TPU内での会長の立ち位置がわからないこと。TPUは会長の働きかけがあったとはいえ、各国が協調して成立させた独立組織のはず。会長というのはシズマ財団の役職名であって、たとえばTPU参謀なり司令官なり相談役なり、そういうのがあっても良いはずなのに呼ばれていない。
外部の人間に精鋭チームを私兵化されてるぞ……大丈夫かTPU。
Q22.シズマ財団はどうやって10年であそこまででかくなったの?
→未解明
年表のところで触れたように、シズマ会長がやってきたのは30年前、20年前にはすでにシズマ財団は巨大組織になっています。これはマジの謎。
が、いちおう理屈はつけられなくはないです。つまりそれは、シズマ会長が入婿したという説。そう、ユナの母方=ユザレの末裔の家は元から巨大財閥であり、権謀術数に長けたシズマ会長はそこに取り入ったのだ……と。劇中には手がかりがないので妄想ですが。
トリガーとは一体何なのか――分裂の真相と11・12話で起きたこと
以上で基礎的なところは説明できたので、核心的な考察に入っていきます。
たぶんトリガー視聴者が大いに戸惑ったと思われるのが、11話・12話です。カルミラの罠によってトリガーの中のケンゴが3000万年前に飛ばされ、超古代の真実を知る。さらに現代では、なんと残されたトリガーの骸がトリガーダークに変貌し暴走。過去から戻ったケンゴはもうひとりのトリガーとなり、さらにユナから託されたエタニティのかけらによって、グリッタートリガーエタニティとなる……。
という真相解明回+強化フォームお披露目回だったわけですが、謎、逆に増えてない??
何もしらない人から見れば味方だったはずのトリガーが悪堕ちし、別のトリガーに倒されるという、考えてみれば後味悪い展開であるし、超古代で起きた過去と未来のケンゴが今一つに……!という現象も一体何なのか。というかなんでトリガーは増えたのか。
引っかかりは正直、多いです。その一方、その後の話数で明かされたり、ヒントが示された部分も少なくないので、ここでまとめて考察します。
Q23.11話でカルミラは一体何をしたの?
Q24.11話のトリガーは何故トリガーダークに変貌してしまったの?
Q25.なぜトリガーダークは暴走したの?
Q26.ケンゴがトリガー自身ってどういうこと?
Q27.過去のケンゴと未来のケンゴが融合したのは何なの?
Q28.なんで12話でトリガーは二人に増えてしまったの?
→すべて考察可能
まず分裂について、次第にトリガーには光と闇の両方が備わっており、それが光=トリガー、闇=トリガーダークに分かれたということが明らかになっていきます(22話など)。
つまり11話では光の部分だけが切り離されて過去へ飛ばされ、それがまた未来へ戻ってきた、というのが大筋になりますが、実はトリガー=光+闇、だけだといくつか説明のつかない部分が生じてきます*3。
ここでヒントとなるのが、最終回でケンゴが行っていた、「光であり人であり闇である」というセリフ。ここから、トリガーには光と闇の部分に加え、もう一つさらにもう一つ「意思」と呼べる部分があると考えると、色々うまく説明できるようになります。つまり、次の図のような感じです。
この「意思」の部分こそが、人=マナカ・ケンゴにあたるわけです。
11話冒頭でカルミラが行った呪術とは、ヒュドラムのセリフによれば「光と闇を分離する」というものでした。つまり上の図のうち、「光」だけを切り離し、「意思」+「闇」とすればかつてのトリガーダークを取り戻せると考えたのです。
だがカルミラにとって誤算だったのは、切り離されたのは「意思」+「光」の部分であり、さらにそれが3000万年前に飛ばされてしまったことでした。
結果、現代には「闇」の部分だけが残りトリガーダークとなったわけですが、「意思」がないため暴走することになってしまいました。
さて、3000万年前の超古代では一体何が起こったのでしょうか。図式化してみます。
まず、超古代のトリガーダークにも、光と闇の部分がともに存在したことは、ケンゴのセリフから明らかです。ただし、「意思」が悪サイドだったため、その姿は闇を体現するダークとなっていた、と考えます。
ところが、そこに未来から未来トリガーの「光」とケンゴの意思がやってきます。
ケンゴの意思だけが飛ばされたわけでないのは、彼が守ろうとして力を使っていることからわかります。では、なぜ変身しなかったのか――というと、それはスパークレンスがなかったからです。
実はトリガー世界にはこういう原則があります。
イグニスが試作スパークレンスをわざわざ奪ったのも、Zさんが単独オリジナルにすらならなかったのも、この原理によるものです*4。ケンゴはスパークレンスを未来に置いてきたので、変身できないんですね。
ただ、ユザレがエンシェントスパークレンスをくれたので、エタニティコアの目前で変身(これが1話でみた幻影の正体)、なぜかトリガーダークの精神世界に入り、肉体言語のやりとりが始まります。
この結果、トリガーダークの「意思」は改心。さらに未来ケンゴ+未来トリガーの「光」が合体してくるので、光+光+闇+意思+ケンゴというなんだかてんこ盛りな状態のトリガーに変貌し、分身して三巨人との戦いになります。
そしてユザレはエタニティコアの力を使って三巨人を石化。なぜかトリガーも巻き添えになりますが、トリガーは三巨人を宇宙に運び、たまたま火星に墜ちることになります。
なぜか時空を超えて仲間の声が伝わったのでここでケンゴ+未来トリガーの「光」は現代へ戻り、火星には過去トリガー……すなわち、光と闇と、善の意思を持ったトリガーが石像となって残る、ということになります。ケンゴがいなくなってもダークに戻らなかったのは、過去トリガーの「意思」が善側へ改心しているから、と説明できます。
それでは、現代では何が起きたのでしょうか。
石化したまま火星で3000万年を過ごしたトリガーですが、ある時どういうわけか、「意思」の部分だけが人の姿で分離します。この赤ん坊が、21年前にケンゴの母親に拾われ、「マナカ・ケンゴ」という人として育つことになります。
すでに述べたように、母の愛を受けたことで「意思」は「人」になりました。つまりここで「光であり人であり闇」になったわけです。
ただエンシェントスパークレンスは手元になく(経緯は不明だが、超古代のどこかで落としたとしか考えられない)、ケンゴはトリガー1話でガッツスパークレンスを手に入れ、さらに石像=自身の本来の肉体と出会ったことで、再度巨人「トリガー」に変身します。
11話まで戦ったところで、既述の通りカルミラの呪術と誤算によって、このトリガーは意思なき「闇」となり、トリガーダークとして暴走することになります。
では、過去から戻ってきたケンゴと「光」はどうしたのか。アキトからガッツスパークレンスを渡されて変身しますが、しかしこの時点のトリガーは、「闇」を欠いた不完全な存在のはずです。
そこを補ったものが何かというと、それこそエタニティのかけらなのです。ユザレが手にし、指輪の形で伝えられてきたエタニティコアの力が、ユナから手渡されたことでトリガーはグリッタートリガーエタニティとなります。
以後もトリガーはマルチタイプ等になりますが、12話以降のトリガーは闇の部分をエタニティのかけらで補った、いわば11話以前とは本質的に異なる存在と言えます。
一方、「闇」の部分は、たまたま近くにいたイグニスと合体して残りを補い、トリガー・トリガーダークが二人並び立つ、という状況がやっと生まれることになります。
そして最終回。イグニスはトリガーダークの闇をケンゴに託し、トリガーは真のトリガー「トリガートゥルース」になります。
普通に考えれば分裂した光と闇が合体するだけなので元のトリガーに戻るだけじゃん、となるかもしれませんが、ここまで読んだならばおわかりでしょう。
トリガートゥルースは、元のトリガーよりエタニティのかけらの分だけ、中身が多いのです。
さらにエタニティコアの力とスマイルスマイル(なにそれ)が加わったら超無敵!大勝利!!!!!
どうでもいいですが22話でケンゴがグリッターをイグニスに渡して「元は同じトリガー」とか言ってますが、渡したのは後から追加された「エタニティ」の部分なので元々もクソもないです。
なにはともあれ説明がつきましたね。以上の考察によって、付随するいくつかの謎にも答えが出ます。
Q29.なんで過去に飛ばされたの?
→知らん
Q30.なんで現代に戻ってこれたの?
→わからん
Q31.なんでユザレは消えたの?
→解明
13話で「エタニティコアの力に体が持たなかった」と言っています。
Q32.なんでトリガーまで石化したの?
→知らん
Q33.なんでケンゴはトリガーから分かれて人になったの?
→知らん
強いて言えば石化が解けたから。
2022.03.18追記:劇場版で説明がありました。
光は隣に誰かがいないと輝けないからだそうです。
Q34.トリガーダークがイグニスと合体したのは何故?
→知らん
たまたまとしか言えない。
Q35.歴史改変はあったの?
→考察可能
地味な大問題。
12話で現代に戻ってきたケンゴが変身した瞬間、闇の三巨人とトリガーダークが頭を抱えて苦しみ、「なんだ、この記憶は……!」と漏らす描写があります。歴史が改変されたときにありがちなやつなので、歴史改変説が噴出することになりました。
しかし、歴史が改変されたかというと、されていない。あるいはごく僅かなもの、としか言えません。どう考えても矛盾が生じてしまうので。
仮に改変があったとして、改変前はどうだったと考えられるでしょうか。たとえば、ケンゴが来なかったので実はトリガーは改心しないままユザレによって共に封印されていた、とかがありそうです。
が、それは簡単に否定できます。1話でカルミラが目覚めるなり「トリガ~~~~」とキレているので、どう考えてもトリガーは改心しています。他の二人の言動やキーにパワーとスカイの力が入った経緯なんかを考えても、12話で起きたのと同等の事態が起きていないと、矛盾します。
つまり歴史改変を仮定するのは理にかなわないのです。あの描写は、理由はよくわからないですが急に昔の真実を思い出したと考えるほかありません。
じっさい、14話でダーゴンは「トリガーの裏切りの原因が、あの人間だとわかったのだから……」と言っているので、まあそう考えるのが妥当でしょう。
もし歴史改変があったとしても、ごく最小限のもの――例えば、「本来の歴史ではケンゴは物陰にいたのでカルミラは正体に気づかなかったが、今回のループではド真ん前に立ってしまったので*5バレた」、というようなクッソしょぼいものでしかありえないはずです。
2022.08.27追記:『フィギュア王』Vol.289(2022.03)のハヤシナオキインタビュー(p.49)に記述がありました。やはり何らかの歴史改変はあったようです。
タイムパラドックスの部分に関しては設定では決めているのですが、作中では答えを一つに絞らず、想像できる余地を残して描くように心がけました。見ている人が『ああだったんじゃないか、こうだったんじゃないか』と考察できる余白のある作りにしたかったんです。
想像を超えていて考察どころじゃない。
その他もろもろ
後は消化するだけ。
Q36.イグニスの目的は何?
→解明
これは自明で、22話で話しているようにエタニティコアを使ったリシュリアの復活です。そのために3話での初登場時からコアへの鍵であるユナを狙っているのであって、ヒュドラムへの復讐は本来副次的なものです。
Q37. 9話のパワードダダの目的は何?
→未解明
根本的に何なのかは不明のまま、というより意図的に説明していないものと思います。
起きた現象は、世界中のシステムが大小問わず乗っ取られるというもの。その過程で邪魔になったGUTS-SELECTを排除するため、ナースデッセイ侵入やキングジョーSCの乗っ取りを起こしています。
まああの回は面白さで誤魔化されがちですが、全般的に尺不足というか、キングジョーSCを倒してもそこらの端末にダダが残っているのでは? という疑問も投げっぱなしにしてます。
Q38. 15話で人間態カルミラが侵入した理由
→解明
明言はされてませんが、GUTS-SELECTの作戦目的を知るためなのは明白です。
まあ、なぜ人間に化けたのに正面から強行突破しているのか、とか、そもそもあのシーンの必然性は? とか色々ありますが、
あの回は坂本回だぞ。
察してほしい。
Q39. 17話でなぜケンゴはいきなりガッツファルコンを操縦できたの?
→考察可能
めっちゃツッコミ入ってましたね。一応理屈はつきます。
1話で「AI制御の無人機」と言っているので、もともとAIによって人間の遠隔操作を補助する仕組みと推定できます。たぶん直接搭乗しても、同じ仕組みで補助が働いたはずです。
また、スピンオフ「開発秘話」によれば、製造途中まで有人機の予定だったものが、アキトの気まぐれで遠隔操縦に変更されたようです。だから急に人が乗っても某戦闘妖精みたいにGで骨折したりはしない、という説明をつけられます。
まあでもあの物凄い機動ができた理由はわからないし、それがAI制御だとしたらヒマリは一体何なのということになって、結局不幸な結論になりますね。つら。
Q40.キリエル人の目的は何?
→解明
自分で言ってますが、「救世主」の選別のためです。モルフェウスRで欲望を刺激することで、そんなものに惑わされない存在を絞りこみました。ただ選別されたユナも一時の感情で動いたので失格になっています。
ティガに出てきたキリエル人とは目的やあり方が異なることに注意が必要ですが、それ以上のことは趣旨から外れるのであえて何も言いません。
本当は最終回の作戦も結構変なことをしているので考察しようと思ったのですが、色々と萎えたのでやめます。ただ一つ言いたいのは、光と闇が一体、というコンセプトのせいで何と何が対立して何が解決されたのかが非常にぼんやりしてしまったということです。特に子どもたちのアレを「光」と呼べなくなり「笑顔」とかいう何だかよくわからない力にしてしまったのは大きなミスではないかと思います*6。
まとめ
以上、「ウルトラマントリガー」にまつわる40個の謎を挙げ、それぞれが解明されたのか、あるいはされていないのか、それとも考察可能なのかを示してきました。
検証結果をまとめると次の通りです。
種類 | 個数 | 割合 |
---|---|---|
解明済(物語内で説明された) | 16 | 40.0% |
考察可能(物語の描写から推定できる) | 11 | 27.5% |
未解明(わからん) | 12 | 30.0% |
不回答 | 1 | 2.5% |
まあ謎のうち7割が回収されたか考察可能なので、思ったよりぶん投げてないですね。よかった。
いや全然良くはない。セリフでちょっと触れたから説明したことになっているパターンが多いのは良くないと思います。なぜこういうことになるかというと、トリガーのスタッフは、撮りたい画が先にあって、それにあわせてその場かぎりの理屈をつけがちだという根本的な問題があるのですが、指摘するだけにとどめておきます。
ということで最終話まで未解明だった謎は以下の通り。劇場版や超全集で明かされるといいですね。スマイルスマイル。
- Q3.闇の巨人って何者?
- Q7.「地球星警護団」って何?
- Q16.なんで火星に遺跡が存在するの?
- Q17.スマイルスマイルは誰が言い出したのか
- Q20.シズマ会長はトリガーのことをどこまで知っていたのか
- Q22.シズマ財団はどうやって10年であそこまででかくなったの?
- Q29.なんで過去に飛ばされたの?
- Q30.なんで現代に戻ってこれたの?
- Q32.なんでトリガーまで石化したの?
- Q33.なんでケンゴはトリガーから分かれて人になったの?
- Q34.トリガーダークがイグニスと合体したのは何故?
- Q37. 9話のパワードダダの目的は何?